ピストンコア
深海底では、大気からの風成塵、陸域からの少量の砕屑物、海洋中の生物遺骸や化学物質などがゆっくりと降り積もり、長期間におよぶ時系列をもった堆積物が形成されています。ピストン・コアラーとは、そういった堆積物を乱さず、かつ層序を保ったまま採取する事ができる優れた機器です。数メートルから数十メートルの長さの柱状堆積物(コア)試料を採取し研究することによって、数万年から数十万年間にわたる地球環境変動の歴史を解明することができます。事実、このシステムの発達によって、古気候学、古海洋学や堆積学は飛躍的に発展してきました。 |
海洋底科学部門では、500kgと900kgのおもりに4メートルから20メートルのバレル(金属の筒;内部にさらにプラスチックチューブが入っているものとそうでないものがある)の組み合わせによって、3つのタイプのピストン・コアラーを所有しています。我々は、平均15mの長さのコアラーを用いて、世界中の海洋底から堆積物を採取し、様々な手法(微化石、物性、有機化学や無機化学的手法等)を用いて地球環境変動の解明に取り組んでいます。 |
-ピストン・コア作動原理-
1. 横に張り出した腕木から吊るされたパイロット・コアラーが海底に着底。
2. ピストン・コアラー本体を吊るしていたフックがはずれ、本体は海底に向かって自由落下する。
3~4.本体着底後、ピストンは海底面に位置したまま、コア・バレルが海底下の堆積物中に貫入する。わずか数秒間の現象である。引き抜く際には,ピストンによってコアラーと堆積物の間は陰圧がかかっているため、バレル内の堆積物は抜け落ちることなく層状を保ったまま回収される。
5.船上へ回収。総重量は1トン以上になることもある。 |