マルチナロービーム測深機
(SeaBeam2120)

SeaBeam2120の概念図( L-3 ELAC 社のweb pageから)  海底の画像や水深を音波で捉えるシステムは過去20年で長足の進歩を遂げています。これらの測器で得られるデータは海底の地形は地質を知る最も基本的な情報であり、海底の形成過程や構造を知る上できわめて重要です。SeaBeam2120 (L-3 ELAC-Nautik) は研究船「白鳳丸」に搭載されているマルチナロービーム測深機です。このシステムは船底から20kHzの音波を 90-150度の扇形に出し、海底ではねかえってきた音波を受信します。SeaBeam2120では、90~150箇所から返ってきた音波を受信して、水深と散乱強度の両方を収録しています。データの水平方向の分解能は調査している水深によって大きく変化しますが、例えば2000mの海底でゃ30m程度です。世界で広く使われているマルチナロービーム測深機は12kHzのお音波を使っており、白鳳丸は世界ではじめて”高周波”20kHシステムを備えて、より詳しい海底の様子を明らかにすることを目指しています。観測によって得られたデータは船上のワークステーションに収録され、ほぼ同時に地形図がモニターに表示されます。研究者は船上でさらにデータ処理や解析を行うことができ、詳細な地形図を航海中に作成することができます。こうしてできた地形図は単に地形の解釈に用いられるだけではなく、岩石や水のサンプリング場所や潜水調査の場所を決めるために使われます。
SeaBeam2120 の制御やデータ収録は
白鳳丸の研究室で行います
左の図はアデン湾の海底拡大軸付近の海底地形図です。このデータは白鳳丸のKH00-5"Aden New centruy Cruise"で2000年~2001年にかけて得られたものです。

アデン湾はアラビア半島とアフリカ大陸の間に位置し、非常に若い海洋底の典型例で、海洋底拡大の初期過程を研究するには良い場所です。また、アファー・ホットスポットがアデン湾の西端に位置するので、中央海嶺系とホットスポットの相互作用を研究する上でも大変重要な場所と考えられます。ここアデン湾では、白鳳丸の航海が行われるまで詳細な海底地形図はありませんでした。私たちの調査によって、拡大軸のセグメントの詳細がわかり、ホットスポットに近づくにつれて地形の特徴が変化していく様子が明らかになりました。


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