提出日:2012年5月7日
クルーズサマリー
1.航海情報
1) 航海番号:NT11-15
2) 船舶名:なつしま/ハイパードルフィン3000
3) 首席研究者:石橋純一郎[九州大学],次席研究者:横瀬久芳[熊本大学]
乗船研究者:長塩皓美[岡山大学],大西雄二[岡山大学],吉住亮人[東京大学],
金森俊太郎[東京大学],川口慎介[JMASTEC],吉田光宏[JAMSTEC]
4) 課題代表研究者:石橋純一郎[九州大学]
研究課題名:堆積層内の熱水水平移流に伴う熱水化学環境の多様性の解明(S11-88)
課題代表研究者:横瀬久芳[熊本大学]
研究課題名:トカラ列島における酸性海底火山活動と熱水活動(S11-08)
5) 航海期間:2011年8月14日(横須賀)〜8月24日(那覇)
6) 調査海域名:沖縄トラフ
航跡を図1に示した。
図1 NT11-15航海の航跡
2. 実施内容(調査概要)
(1) 地形探査(研究課題S11-08)
北部琉球弧における酸性海底火山活動と熱水活動の解明に向けて、8月17日から18日にかけてSEABAT8160を用いた海底地形調査を実施した。調査対象海域は図2に示したように、奄美カルデラ周辺海域(測線総延長184海里)、および、その南側に分布する海丘群の山頂部(測線総延長124海里)である。後者の調査は伊是名海穴潜航調査海域への回航時にあたる。
本調査の目的は、火山性微地形の解析作業に基づく火山活動の概略把握および熱水活動域の分布との関連性追求である。今回得られた地形データの詳細解析結果は、中琉球弧の火山フロントにおける火山活動の解明や熱水域の特定にいて、重要な情報源になるものことが期待される。
図2 地形調査および潜航調査の調査海域の海底地形図
(2) 潜航調査(研究課題S11-88)
本調査航海では、以下の熱水活動域で潜航調査を行った。伊是名海穴のJade field (27°16.0' N, 127°04.5' E) ではHD1310,HD1314の2潜航を、伊是名海穴のHakurei field (27°15.0' N, 127°04.0' E) ではHD1311, HD1313の2潜航を、伊平屋北海丘ではHD1312の1潜航を行った。これらの潜航調査海域が設定されたのは、2011年6月に「大河計画」のもとでBMSによる浅層海底掘削が実施されたことによっている。
本調査の目的は、熱水循環が水平方向に卓越する堆積層内で形成される海底下の多様な化学環境の解明、さらにその化学環境に対応した微生物群集の代謝活性や生化学的過程の特徴、およびそこから沈殿生成する熱水性鉱石の鉱物化学的特徴について関連づけた議論を行うことである。潜航調査により採取された熱水試料、地質試料(鉱石、岩石、堆積物試料)の地球化学的解析さらには、微生物学的解析、鉱物学的解析を今後展開していく計画である。