「RIDGE2000 Progress and Planning Workshop報告」

JAMSTEC 富士原敏也

10月30日から11月2日にかけてカナダバンクーバーで行われた、RIDGE2000 Progress and Planning Workshopに出席しました。出席者は126人(アメリカ113人、カナダ12人、日本1人)でした。U.S.RIDGE2000がどこまで到達して、今後何をどこまでやりうるかを検討するのがこの会の趣旨でした。

RIDGE2000ではIntegrated Studies Site (ISS)として、北緯9度・東太平洋海嶺、ファンデフカ海嶺・Endeavour site、そしてLau海盆の3つを設定して、其処で"mantle to microbe"、微生物学者から地質学者、地球物理学者までが学際的に協力して、微生物からマントル構造までを統一的に理解しよう、と目指して研究を進めています。ゼネラルセッションでは、その各ISSの代表がこれまでの成果、予定されている航海・研究をまとめて講演、ブレイクアウトセッションでは各ISSに分かれて今後の展望を議論、夕方はドリンクとアペタイザーしながらポスターセッションという議事進行でした。ゼネラルセッションでは他にも、データマネジメントや他海域の研究、普及広報(Education & Outreach)についての講演・総合討論、NSFからの講演、カナダの参加者からMarine Protected Area(Endevour siteはカナダのEEZにもかかる)の話、またNEPTUNE-Canadaの講演がありました。

私はゼネラルセッションで、2003年の「よこすか」航海と1997年に行われた「よこすか」航海のLau海盆・Havreトラフの地質・地球物理調査の発表をしました。我々の調査域は彼らのISSからはずれているので、興味を持たれるか非常に心配でしたが、ISSから我々の調査域にいたるモルフォロジー、構造の遷移・対照に大きく興味を持たれたようでよかったです、行った甲斐もありました。講演の詳細については2003年の航海データを現在東大海洋研の渡邊みづきさんが修論で解析されています、今後学会等で結果を目にされると思いますので、ぜひ見聞いただきたいと思います。私の講演の終わりには、日本のISS?である白鳳丸の南西インド洋航海の提案を紹介しておきました。私はLauのブレイクアウトセッションに行っていましたが、すみません、私以外みなネイティブの状態では、スライドなしの議論について行くのは私の英語力ではつらいです、、、ですのでここには記しませんが、それでも気になる方は私までご連絡ください。この会での発表の中で私は、地質・地球物理研究で、Endevour siteで海底噴火後になるべく早くに出かけていってhydro-thermal activityの時間的推移を調べる、地震計、電位磁力計の高密度展開による、海底下構造の高分解能化などに目を引かれました。微生物研究については研究の内容がよく理解できていないのですが、観察・記載だったような、、、今のところ"mantle to microbe"、なかなか「つながらない」なあ(つながらなくてもいい、と思ってる節もありますが、、、)、というのが私の感想です。

今回に限りませんが、海嶺研究者が多いなあという実感・ため息も。2の矢、3の矢が出ますからね、私が「Lauに関する今後の展開は、、、ない」と言ったらガクッと来てました、、、最後に、この会議に出席する機会を与えていただいたDouglas Weins、Donna Blackman、島伸和さんに感謝します。参加費用はRIDGE2000よりいただきました。