Ridge Theoretical Institute 2006 "Mantle to Microbe"

Village at Mammoth, Mammoth Lake CA. June 26, 2006-June 30, 2006


浦辺徹郎 (東京大学大学院理学系研究科)

 表記の会合に出席したので簡単に報告したい。これはアメリカのNSFの下で走っているRidge2000(海嶺研究計画)が開催したもので、最初の2日間がショートコース、中1日のフィールド巡検を挟んで2日間のワークショップという日程で、カリフォルニアのヨセミテ国立公園にほど近いマンモス・レークスにおいて行われた。

 参加者は約100名、9割がアメリカ、残りは7カ国から1−2名ずつで、日本からは山崎徹(北大:ショートコースのみ)と私が出席した。Ridge2000はRidge計画を引き継いだもので、あわせて16年の長きにわたっている。さすがに予算は頭打ちだが、これほど長く続いた計画も珍しい。海嶺という研究対象のおもしろさと奥の深さが多くの研究者を引きつけ、この長期計画を支えてきたのであろう。今回の参加者を見ると、海嶺研究を引っ張ってきた第1世代のbig namesが引退し、第2、3世代の若手が取って代わっているのがわかる。ある意味では研究が深まったともいえるが、答えようとしている問題や″夢″の規模が小さくなってきている等の問題もある。

 印象としては、熱水性微生物学と他の地球科学との融合が大きな領域を占めており、他には、熱水活動の長期的変動と熱供給メカニズムの関連や、微生物代謝と化学合成微生物の一次生産、熱水循環の物理的・化学的モデルの分野で新たな進展が見られた。一方、熱水系の記載、熱水性大型生物、テクトニクスなどの分野でも研究が続いているが、島弧の例を除いて見るべき成果は影を潜め、海嶺研究の進展の速さを伺わせる。ただ、これだけの研究の進展とデータの蓄積があったにもかかわらず、海嶺のダイナミクスについての重要な問題の多くが未解決なまま残されている。J.Cannが最初の講演で述べたように、海嶺の作用は非常に複雑で、多くの分野にわたる総合的な知識を必要とするため、一朝一夕には解決できないということかも知れない。会合の目的はタイトルにあるように、これまでの海嶺研究のさまざまな研究分野間の統合を行い、海嶺熱水系のモデルを作ることにある。それが将来の海嶺研究継続の″ネタ″になるという見通しがあるようだ。

 アメリカの研究者の優れたところは、このような会合を開いて主要なトピックは何かという質問をすると、ほとんど全ての人から手が上がることであろう。活発な意見が交わされて、最後には整った問題点のリストができる。またそれを報告書にまとめるために朝から晩まで話し合うエネルギーには感心させられる。

 ただ問題はRidge2000のように分野間の統合が進んでいるケースでも分野間のクロストークができていないことで、分野に分かれて議論をするとどんどん詳細に入っていって、他の分野のことが出てこなくなる。また分野間で話をすると、すべての項目が抽象的な内容になってしまう。さらに大型生物のグループのように、全員が声を合わせてNSFにその分野の重要性をアピールするだけの発言も見られた。分野間の討論を行うと、お互いに相手に何をして欲しいという要望が話題の中心となる。たとえば、微生物の人から地球物理に対し、海底下の透水率の詳細な分布データが欲しいという、実行的に不可能な課題が出てくるが、地球物理の人は自分がやるわけではないと思うので、報告書段階でも平気でその文章が残ったりする。

 研究者人口でアメリカに大きくひけを取るわが国の海嶺研究が、世界に向かって寄与できるとすれば、これまの共同研究の中で打ち立てられてきた分野間の密接な連携を活かすことであろうと思われる。有機・無機化学と微生物学に共用できる採水器や、長期観測機器、現場培養器など、すでに共著の論文が出ているという強みを生かして、上記のような無駄をすること無しに、最初から分野横断の具体的な計画を作るべきとの感を強くした。

 また、ワークショップで欠けていたのは地下生物圏のproductivityをどのように計るのかという議論で、微生物学者は個々のことばかり興味があり、化学の力をどのように借りるかという議論がない。誰かから化学組成さえ与えられれば、productivityがわかるということはないのに、連携には興味がない。チムニーのような環境勾配の急な、小さな場でのcommunity modelはできているが、大きな場でのそれはできておらず、これから何をするのかという点も欠けているように思われた。これは微生物学者に限ったことではなく、他でもおなじであった。

以下は特に注目すべき点の抜粋:

Joe Cann:拡大軸の作用は非常に複雑で、さまざまな要素が関係する。そのため海嶺の科学は非常に多くの分野の知識を必要とする。モデルは世界の理解を裏打ちするためのもので、conceptual models と numerical models、の両方が必要。All models make assumptions, involve simplification, produce predictions, である。

Maya Tolstoy :Kent et al (2003)はridgeで3Dを行い、Wilcocks はEndeavor fieldでhydrothermal field sizeの震源分布を決定した。 TolstoyはEPRで同じ事を行った。0.5 ? 2.0 kmの深度にactivityが集中、これらの地震はlow tideで起こっていて、tidal triggeringが認められる(Wilcock, 2001 Endeavor Ridge)。ところが Stroup et al 2006 at EPRは逆にhigh tideで起こっている。これはマグマのちがいか?

John Maclennan:1350℃でマントルが溶解し、1250℃でオリビンからOl/plg/cpxとなり、1050℃で98%が固結し、800℃でソリダスの最低温度、で400℃が熱水の最高温度、40℃が最低温度となる。Sinha and Evans (2004)はマグマ供給率の計算をおこなった。1250-1050度で熱の44%が放出され、800℃までに17%、400℃までに22%が、40℃までに17%が放出される。岩石学的に熱の放出を調べる方法として、cpz-melt barometry (Maclennan et al 2001 EPSL)があり、別にYang (CMP 1996)によるol-cpx-plg-melt geogarometryがある。これによりMORBは10kbで溶けていることが分かる。また8kbより高い圧力で結晶分化がおこると、olのあとol+cpxが、それより低いとol+plgが晶出する。アイスランドは前者で、深いことが分かる。Korenagaらのいうgabbro glacier modelよりmulple sill modelがよいことがわかる。Michael and Coenell (JGR 1998)はav. Crystallization pressureが4 km-1.5kmと拡大速度が速くなるにつれて浅くなる事を示した。

Jason Phipps-Morgan:熱水の寄与を知る上で難しいのは透水率の推定。まずマグマ量は100km/Maでは 2x10^-5 m^3/sと推定されるので、heat emplacedはglobal heat lossの3%にすぎない。熱水活動は1kmあたり3-10個しかなく、ρ=4kJ/kg-℃なので熱水の平均温度を100℃とするとその量は170 l/s/axis-kmとなる。遅い拡大軸のように海底がペリドタイトででききていてもこの量に大きな差はない。Oman ophioliteの酸素同位体の結果から、海水は地殻全域を循環しているが、ほんの少ししかマントルに入らないことが明らかである。熱水変質の熱は重要だが、冷却の効果ほどは大きくない。ペリドタイトが600℃以下で変質するとhydrous serpentititeになるが、この発熱反応は300℃程度の冷却に相当するに過ぎない。メガプルームは10GWの熱を放出するので、何か速い熱のmining(収奪)プロセスがなければならない。700 to 100℃の変化は2%の体積収縮をもたらす。これは約2GPaの変化に等しく、岩石を破壊するのに十分である。Nicolas and Mainprice (2005)はオフィオライトで700-1000℃の幅で、hydrous meltingが起こっていることを示した。よって彼は熱水活動がマントルにおよびモホを蛇紋岩化し、そこでデカップリングがおこっているのでないか?そしてそこに熱水がfocusしているのでないか?しかしこのモデルには地震学的な証拠がないし、水文学的に難しいという疑問が多く出された。

議論:

モトル:岩石は水の4倍の熱容量を持つが、長い目でみれば1200℃の岩石が400℃の熱水を作るのであるから、質量から言えば岩石と熱水の比は1に近くなければならない。これを外れるモデルはあり得ない。

キャン:揮発性物質についていえば、backarcでは重要だがMORでは量的に問題にならない。オフィオライトの中で最も水が回っている所は下部地殻ではなく、シートダイクの底であるのでモーガンの考えは賛成できない。

キャン:ブラックスモーカーができるためにはマグマがエピソディックである必要がある。これに対し、モーガンは恒にメルトレンズがあるので、どのように熱を取り出すかが重要であるとした。長期間のマグマ溜まりがあっても、そこから結晶化の熱を奪うのは難しい。

Andy Fisher:掘削孔を用いた測定によると、海嶺の透水率は10^-10平方メートルm2から下に向かって低くなる。Middle ValleyのCORKの測定では堆積物のあるところでは-400kPaと負の値を採るのに対し熱水地帯ではプラスとなる。これを使うと透水率は10^-10 m2ていどになる。301の長期観測では初めてCORKのネットワークができた。ホール1027とホール1031の間で計算すると、後者を掘削している間に前者の圧力が増加し、その後も増加し続けている。それをフィットしてみると、10^-11m2から10^-13 m2の値が得られる、これは注入された水の量が分からないから幅を持つ。

Peter-Alt-Epping:海嶺熱水系のReactive transport and numerical modelを作った。モデルはまず岩石をユニットにわけ、液はそれらと完全には平衡に達しないとする。ユニットによって温度が異なる、またそれらと液が反応をし、次のユニットにトランスポートされるということでキネティックスを取り込んでいく方法。time-dependentな熱的、水理学的、化学的なプロセスを記載するFlotranというプログラムを使った。Thermodynamic dataはEQ3/6 およびFreeGs (Geoscience Australia)、Paris School of MinesのCTDPを使った。これをミドルバレーにつかった。スメクタイトも含め、数多くの鉱物をくみあわせて計算している。▲個人的に確かめたところ、データのコンシステンシーなどは厳密でなく、結果についてもあちこち矛盾があるが、参加者からは高い評価であった。

Bob Lowell :マグマと高温のベントを結びつけるSingle-pass conceptual modelを作った。マルチフェーズ、マルチコンポーネント。フィールドからのデータは、温度、フラックス、リチャージ域の面積など、非常に限定的につかった。透水率 kは分からないのでこのモデルを使い、分かっている数値から求める方法をとった。k=10^-13  -  10^-11m2という値になる。これはODPでシートダイクについて測られている値より数桁高い。▲彼の仕事はモデル中心で、幾つかの仮定には現実に合わないものがある。あまり他からは相手にされていないようである

A. Fisherによると、熱計算の結果、海嶺の熱水の滞留時間は1年の単位であって、10年でもなければ数週間でもない。この結果は、海嶺翼部のゆっくりした循環と整合的でないが、これは熱量から計算するかどうかによっている。

Julie Huber:海底下の微生物コミュニティーについての研究は探索、productivity、culture phase, habitat, molecular applicationと進んでいる。The crustal aquifer as a microbial habitat (Johnson and Pruis 2004) というのが中心概念で、diffuse flow中のメタゲノムなどに注目して、地下生物圏の代表としている。主として、メタンのエクセスと硝酸の不足と鉄の量に注目。論文としてLilley 2003, Butterfield et al., 2004がある。J.Holden 1998はフロックサイトのプルームにおけるバイオマスの研究をおこなった。

Metagenomicsはコミュニティーのゲノミクスを明らかにするもので、最近ハワイのさまざまな深度での研究が為されている。将来はこのfunctional geneを使って、どのような機能があるかを調べることが重要。Huber 2003のAxial seamountの低温熱水の例、チムニーの中の環境傾斜の例など(Schrenk et al., 2003)それぞれのゾーンでの微生物の組み合わせが明らかになっている。D. Kellyは現在121℃のチムニーで現場培養をしている。数十メートルはなれただけで、それぞれのチムニーには非常に異なったコミュニティーが住んでいる。εプロテオバクテリアは1リットルの熱水中に600種が住んでいる(Campbell 2006 Nature microbiologyのreview)。これは水素や硫化水素を使える。また生存の上限を知りたい。理論的な境界は140-150℃だろう。Van DoverはGlobal distribution of microbeを示したが、そのようなものは存在するか疑問があり、化学がより重要である。

Peter Girguis :Focused flow(つまりブラックスモーカーのこと)とdiffuse flowがそれぞれどの程度の広がりと量を持つかをキャラクラライズすることは難しい。Culture-dependent schoolはbiochemのパスウェイを明らかにする上で優れているが、複雑なコミュニティーの相互作用を明らかにすることは難しい。また培養できるのは1%に過ぎない。また、実験室で得られたフィジオロジーは現実と異なることがある。Culture-independentは最近大きな寄与をしたし、培養に伴うバイアスがないが、PCRにともなうバイアスがあり、みたいものばかりをみることがある。メタンはabiotic, thermogenic, biogenicの3つの起源を持つ。メタンの代謝は全地球の1%以下であろうが、Whiticar 1999のCO2-CH4の同位体の速度論的な関係のため、はっきり分からなくなっている。

ANME-1とANME-2とDesulfosarcinaを使ってanaerobic methanotrophを実験した。これはH2S+CH4を海水に混ぜ、それを堆積物のコラムに入れて、メタン酸化の速度を測定したもの。フローレートが低いときはANME-2が増え、高いときはANME-1が2に比べて多くなった。この結果を基にモンテレー湾の炭化水素湧出域のanaerobic methane oxidizing archaeaのpopulationを明らかにした。388g CH4/yr-1 のメタンが作られ、その78%が消費されていることが分かった。一方、チムニー中のメタン酸化を明らかにするため、筒状の培養器をチムニーにつこんでいる。ゲノミクスは何かを行うポテンシャルの青写真にすぎず、実際にそれをしているという証拠ではない。

Tom McCollom :熱水系の炭素はバイオマスの主要な成分で、代謝の主な部分を占め、グローバルな炭素サイクルの一部を為している。熱水系およびその周辺では呼吸、生物学的炭素固定、熱分解、鉱物沈殿、無機的有機物合成といったプロセスが複雑に絡んでいる。ここでは定性的にその一部を取り上げ、モデル作成の一助とする。 熱水中のCO2は温度と共に上昇し、最大約200mmol含まれる。MORBのCO2の炭素同位体は-10‰までで、熱水中のメタンは温度とともに上昇し最大2.5mmolを示す。メタンのソースはマグマ、岩石中の炭素から(230ppm)、二酸化炭素の還元ほかがある。Seewald 2006からいうと、炭素の還元はCO2-HCOOH-CH2O-CH3OH-CH4という順序をとるが、温度が高くなるとCO2が、低いとCH4が優先する。実験室ではCO2+H2から蟻酸を作る反応は早く進むが(McCollum & Seewald, 2003)。オリビンを含む系では1600時間でCO2からメタンができるができるのは1%にすぎず、反応はprohibitされている。Foustoukos and Seyfried (2004)も同様の実験を行っている。ホルマリンからメタノールの反応は遅く、アルコールからメタンの反応はきわけておそく、熱的にprohibitされている。20000時間たってもできたCH4は全体の1%にすぎない。Horitaの実験でNi-Feの触媒があると速い。Affinityという尺度を導入しA=-RTln (Q/K)と定義。Bach & Edward (2004)はCO2とH2の反応を調べた。(触媒があると速い)しかし、メタンは生成しなかった。

Katrina Edwards:通常思われている以上に堆積物のカバーはうすく、600,000km2の海底はbare rockで酸化的な海水にさらされている。(Edwards et al 2005, Trends in Microbiol 13).通常は海嶺翼部は0-40℃の海水にさらされ、酸化物の生成が見られる。低温の変質はカイネティックにprohibitされているので、微生物学的な反応が主要なものである可能性がある。一つの可能性はFe(II)からFe(III)への酸化。たとえば微生物学的変質でSiが玄武岩から放出される(Edwards 2005 Geomicrobiological J)などがある。Bach and Edwards (GCA)はODPの玄武岩のFe3+の割合が年代と共に増加することを示した。Furnesは変質に占める微生物の役割を調べた。玄武岩ガラスを3℃の海水中に8ヶ月放置した?バクテリアのコロニーができた。

Chuck Fisher:Vent biologist は、なぜ見えるものをモデルする必要があるのか?という態度であり、モデル化に遅れている。そこにいる生物を記載するだけでrewardingな仕事となっていた。Diffuse hydrothermal vent + chemoautotroph = vent faunaであり、深海は極限環境ではなく、非常に安定していて適用しやすい環境である。酸素濃度が低いが、もちろん酸素が不要なmetazoanはいないが、低酸素にたいする戦略は為されてる。

Lee Kump:アーキアンにはマントルドミネーテッドオーシャンがあり、硫酸のない熱水系が発達していた。Stanley and Hardie 1999はグリーンストーン帯が速い拡大軸の熱水系の変質でできたと考えた。Shields and Veiser 2002は海水のストロンチウム同位対比とカルサイトの酸素の同位体を年代毎にプロットした。後者は時代と共に重くなるので、海水の温度が高くなったと考えるか、後の時代のオーバープリントと考えるか議論が分かれている。Huston and Logan 2004はイオウの同位体は35億年前のバライト以外にあまりデータがない。これはプロテロゾイックになるまで海水中に硫酸がないからであるが、これを計算すると(Kump and Seyfried 2005EPSL)熱水中の水素濃度が時代とともに非常に減少しなければならない。彼らは玄武岩と共生する溶液中の鉄量の温度圧力の変化を計算している。これをBIFのソースとした。熱水は鉄と水素に富み、目詰まりすることがない。

 シアノバクテリアが酸素発生型の光合成を開始したのは27億年であるが、酸素シンクの方が大きかったので、24億年まで酸素が増えなかった。Holland 2002はf-valueという考えを導入し、火山ガスや火山性の熱水を酸化する能力を表し、f>1であれば水素を発生するとした。カンブリア以降になるとgreenhouse, icehouseの時代が繰り返したし、火山活動がfluctuateした。T.K. Lowenstein et al (2003および2004 Science 294)はfluid inclusionを使って海水の組成の時代進化を明らかにした。熱水循環がMgと取り込みCaを放出するのは拡大速度が関係している。しかし問題は、アルカリニティのバランスが考えられていないこと、これはCO2のサイクルと海水中のアルカリニティとの関係を考える必要がある。しかしこのフィードバックを考えるとLowensteinのデータと全く合わなくなる。Demicco 2004はarea of oceanic crustが180Maのゼロから現在の値まで直線的に増えたとしている。Cogne et al 2006は海嶺だけでなくLIPも足して考え留必要があるとした。いずれにせよ海水の化学組成の変化が、拡大速度ときれいに関係すると異言うことは難しいいかも知れない。熱水が海水の組成に影響を与えたのはアーキアンの頃は明らかだが、最近はどの程度の影響かどうかは分からない。▲これに対し、海嶺の拡大速度が早くなったということには根拠がなく、間違いである。同じMg/Caの変化は海水準の変化と大陸のフラグメンンテーションおよびドロミチゼーションによって説明されていた。何故この説明が支持されないのか分からない。

議論:このあとどのようにモデルをつくるかという議論があった。誰もが海水循環のモデルを説明に使うが、それをコンセプチアルモデルとして一致しているといえるか?モーガンはこのようなモデルの「ツールボックス」を用意して、誰もが使えるようにしないとだめだと主張した。気象の人たちはそれをつくって誰もが使えるようにしたので、研究が進んだ。これに対し、ロウエルは特定の目的にのみ用いられるモデルが多いことが問題として、議論を元に戻してしまった。分野間の連携についても、地球化学がリンクの役割を果たすという指摘が為された。Fluid flowのモデルを作るにはそこにどのようなインプットをするかだが、もうひとつアウトプットを比べる方法もある。たとえば微生物をインプットにする必要はないが、アウトプットで結果を比較できるのでないか(フィッシャー)。ひとつの解決は、diffuse flowをモデルの中でどのように位置づけるかで、もしそれが重要な役割を果たしているなら問題だ(モトル)。またリチャージについても定義されていない(フィッシャー)。だれもoff-axisの潜水調査をしていない。どれくらい深いのか、リザーバがあるのかなど全く分かっていない。この議論に少し幻滅するのは、何を目的として議論しているかが良く分からないことと、誰がそれをやるのかと言うことと、本当に計画作成に結びついていないことである。

アクティブ実験:

非常に分からないことは、高温のブラックスモーカーと低温のディフーズフローの分配を知ること。またリチャージについても分かっていない。掘削孔にSF6を注入して、海嶺浅部のディフーズフローの動きを知ることができるのでないか?モニタリングはオスモサンプラーのアレーでできるだろう。

 微生物が環境をどれくらい確実に表すことができるか?そのような仮定をおくことができるか?定量化が可能か?ある特定の環境のベントで、微生物代謝のダイナミクスを明らかにできるか?