日本地球惑星科学連合メールニュース 1月号 No.289  2017/01/11
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└■ 1.巻頭言
公益社団法人日本地球惑星科学連合 会長 川幡穂高

新年おめでとうございます.本年もよろしくお願いいたします.
今年のJpGUの活動の「暦」として重要日程をお知らせいたします.連合大会は,JpGU-AGU Joint Meeting 2017 として5月20日~25日(6日間)に,幕張メッセ国際会議場を中心として開催されます.連合大会の投稿申し込みは2月16日(早期割引 2月3日11:59)まで,早期参加登録は5月8日16:59までとなります.ぜひ,連合大会へのご参加をお願いする次第です.例年どおりですと, 8月に代議員選挙が公示され,秋に投票が行なわれ,11月にセクションプレジデント選挙公示,12月に理事候補者選挙公示となり,年末を迎えま
す.ぜひ,投票を通じてJpGUの活動に積極的に参加していただければと考えます.
皆様もご存知のように,地球の全歴史を,上と同じにように1年間に換算した「暦」としてまとめると,最初の生命が発生した 38~35億年前は3月,縞状鉄鉱床がピークを迎えた25億年前は6月13日となり, 先カンブリア時代は秋を超えるまで長く続きました.硬骨格の生物が出現した古生代は11月18日,恐竜の中生代は12月11日(JpGUとMOUを結ぶAGUのFall meeting 2017 がニューオーリンズで始まる日),新生代は12月26日に始まりました.私達,ホモ・サピエンスの出現は12月31日23時40分すぎ,日本に到達したのは55分すぎ,地球環境問題が深刻になった20世紀は,12月31日23時59分59秒すぎとなります. わずか1秒以下で,人類の活動により地球環境は大きく変化しつつあります.地球環境問題では,しばしば二酸化炭素濃度や汚染物質の濃度が問題となりますが,それ以上に超高速のスピードが重要です.
例えば,二酸化炭素は温室効果気体であると共に,弱酸性の気体です.レストランでガス(炭酸)入りの水を注文すると,少し酸味があります.最近生まれた赤ちゃんは,西暦2100年の正月を元気に迎えることと思いますが,その時には二酸化炭素は数百ppm(現在,400ppm)まで上昇し,pHが下がり,南・北極海と周辺では生物の炭酸殻が溶けてしまうでしょう.熱帯でもサンゴの生育が抑制されます. 恐竜の生きた1億年前(白亜紀)の二酸化炭素は1000ppmを超えていましたが,変化速度がゆるやかだったので, 大陸との中和反応が進行して海洋酸性化は起こりませんでした.「二酸化炭素」に関する問題は,加害者と被害者が不特定多数で,科学的知見だけでは社会の合意はとれません.紆余曲折を経ながらも,温室効果ガスの排出削減などを定めた「パリ協定」が11月4日に発効しました.
地球惑星科学は,人々の生活のベースとなるような気候・環境問題,大規模自然災害ともリンクし,社会とのやりとりが求められています.これを自覚しつつ,純粋な学問を追求したいと思います.本年も連合大会において,皆様の最新の成果を発表していただき,コミュニティ全体が発展できればと願っております.