日本地球惑星科学連合メールニュース 5月号 No.294 2017510
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└■ 1.巻頭言
公益社団法人日本地球惑星科学連合 会長 川幡穂高

今年のゴールデンウィークは,休みの取り方にとっては長期間となったので,フィールド等に行かれて調査を行なった方もおられたかもしれません.2017年の連合大会は,5月20日の土曜日から始まり,25日までの6日間の日程で幕張メッセの会場で行なわれます.特に,今回は,初めてのJpGU-AGU共同開催となり,その特徴が発表数などにも表れています.2017年大会(括弧内は昨年)のセッション数は253 (194),発表論文数は5,562 (4,515)で,申し込みのIDから検索すると発表申込み者の出身国・地域数は50となります.先月のニュースでもお伝えしましたが,JpGU-AGU共同開催ということで AGUからの投稿も約1,000と海外からの発表者が大幅に増えそうです. 昨年の全参加者数は7,240名なので, 今年はこれまでの最大数になると予想されます.5月21日(日)1530-1700 にはConvention Hallにて,ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章教授やLucy Jones教授による基調講演も含めてさまざまな企画がありますので,以下のwebsiteで検索して下さい.httpwww.jpgu.orgmeeting_2017event.html
連合大会が開催される「幕張」についてここでご紹介したいと思います.幕張メッセの最寄駅は京葉線の「海浜幕張駅」です.東京駅周辺から東に向かう電車は,総武線,東西線,京葉線となりますが,京葉線が一番南よりを走っています.少し北を走る東西線が開通した当時は,一部海上の高架を走っていたことからわかるように,京葉線の下の土地は昔は海の底で,埋め立て地ということになります.東京駅を出発して,ディズニーランドを過ぎると,電車は真東から北東方向に向きをかえ,武蔵野線との合流点を過ぎると南東に向きを変え,しだいに遠方に下総台地が見えてきます.この台地は,昔の海岸沿いまで迫って海食崖を形成しています.一番北を走る総武線に乗ると,地形の変化がより明らかとなります.
「幕張」の名前の由来は幾つか説があるようです.この地が有名なのは,江戸幕府の8代将軍徳川吉宗が儒学者である青木昆陽にサツマイモの試作を「幕張」で行わせたからです(1735年頃).サツマイモは「薩摩芋」と書かれますが,原産地は鹿児島県でなく,南米で,ヨーロッパ,中国を経由して琉球にはいり,薩摩に到着しました.サツマイモは痩せた土地でも育つくらい繁殖能力が高いのが特徴です.窒素固定を行なう特別の細菌との共生がひとつの原因のようです.窒素固定とは,通常の空気中の窒素を用いて,植物の栄養となる窒素化合物を作ることです.サツマイモは,その後,東北地方を中心とした天明の大飢饉(1782~1786年)の際に多くの人々の命を救うのに大きく貢献しました.それを顕彰する目的で「昆陽神社」が立てられ,現在でも総武線「幕張駅」そばにあります.たまには,会場への経路を変えて総武線で会場に行かれてはいかがでしょうか?総武線「幕張駅」よりバスに乗り換えて幕張メッセに到着できます.
最後に基調講演以外の重要な日程についてお知らせいたします.ランチタイムスペシャルレクチャーは,22日(月)を除く,お昼休み(1300~1340)に幕張メッセ国際会議場1階103号室で開催されます.フェローなどの表彰式は23日(火)で,夕方には公式の懇親会があります.企画の方々の努力もあり最近の懇親会は充実し,若い方も数多く参加されておりますので,ぜひお越しいただければと思います.なお,昨年11月の巻頭言で,発表言語「JJ」,「EE」,「EJ」についてはご説明しました.httpwww.jpgu.orgmeeting_2017conv_guidelines.html
今年は多くの海外の研究者が参加します.「JJ」のセッションにおいても発表者が発表言語として英語を選べます.皆様のレベルの高い研究成果をぜひ海外の方々にも理解しやすく工夫して発表して下さるとありがたく存じます.連合大会での発表も世界への情報発信という点で大変重要です.
最後になりますが,連合大会を学問(サイエンス)のみならず興行としても成功させたいと思いますので,よろしくご参加,ご協力のほどお願い申し上げます.