日本地球惑星科学連合メールニュース 12月号 No.303 2017/12/11
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└■ 1.巻頭言
公益社団法人日本地球惑星科学連合 会長 川幡穂高

JpGU2018に向けて,セッションの積極的なご提案,どうもありがとうございました. EGU,AOGSとのジョイントセッションも活性化してきたので,より一層国際色豊かな連合大会となることが期待されます( http://www.jpgu.org/meeting_2018/ ).2018年1月10日(水)よりアブストラクトの受付が開始されますので,JpGU2018がこれまで以上に盛会となるよう皆様からの積極的な投稿をお待ちしています.
現在,年会費,投稿料,参加登録料のお支払いは原則オンラインでクレジット払いをお願いしています.会員の皆様から「現金決済はダメなのか?」とのご質問を時々受けます.クレジットカードや Suica (Icoca) などの電子決済だと,仲介会社への手数料が無駄ではないかと思われる方もおられるかもしれませんので,ご説明したいと思います.JpGUの会員数千~1万人いますので,現金振り込みを個々にされますと,その支払い照合に気の遠くなるような手間がかかります.この手間は人件費となって跳ね返ってきます.しかし電子決済の場合は,入金照合,リストの作成,総額計算などが簡略化され,事務処理もスムーズに進むことになります.
日本は現金崇拝が強いとされ,「タンス預金」が40兆円に上ると言われています.総務省「全国消費実態調査」によれば日本人の消費支出に占める現金決済は,依然として80% 程度と高い水準を示しています.しかし,最近は電子決済が急速に増えています.それは,売り上げと入金額がずれない,レジ締め負担が減るなど利点も大きいからです.金融界の常識を破って発展したセブン銀行のATMも,利用件数が年々減少し続け,電子決済が急速に進行していることを裏付けています.政府も海外からの旅行者の増加に合わせ,特にオリンピックに向けて電子決済を増やす方針だそうです.
「お金」の機能は価値の「交換(支払い)」,「尺度」,「貯蔵」と3つあります.もともとは,実際の「物」があり,その「物」と「物」とを「交換(支払い)」していました.次第に,交換するものが,金属貨幣,紙幣と変化しましたが,1971年までは「金(Gold)」との価値交換が担保されてきました.しかし,ニクソンショック後は,その保証もなくなり,原価20円ほどの「壱万円札」に「一万円」の流通価値があると皆が信じて,私も毎日使用しています.最近では,「ビットコイン」なる仮想通貨も実社会に導入されてきました. 日本は2017年4月施行の改正資金決済法(ビットコインなどの仮想通貨を円やドルなどの法定通貨に準ずる支払い手段と認める法律)の整備を,世界で最初に行いました.「ビットコイン」の行方は,まだ定かでありませんが,電子決済は今後急速に進展すると予想されます.今の学部学生さんが,老人ホームで暮らす未来には,「昔は物を買うとき,壱万円札という紙と物々交換したものだった!!」と現金決済を懐かしく想い出すかもしれません.
というわけで,JpGU2018のアブストラクト登録時には,ぜひ電子決済でお願いできればと思います.
2017年も残り少なくなりました.良いお年をお迎えください.