日本地球惑星科学連合メールニュース 1月号 No.304 2018/01/11

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└■ 1.巻頭言
          公益社団法人日本地球惑星科学連合 会長 川幡穂高

 新年おめでとうございます.本年もよろしくお願いいたします.今年は例年と比べて寒い冬となっておりますが,いかがお過ごしでしょうか?
 今年のJpGUの活動の「暦」として重要な日程をお知らせいたします.連合2018年大会は,5月20日~24日(5日間)に,幕張メッセ国際会議場を中心として開催されます.講演申し込みは2月19日17時 (早期割引2月5日23時59分)まで,参加登録は5月24日(早期割引5月8日23時59分)まで受理となります.
 1月1日に新年を迎えると,あらためて「時」というものを実感される方も多いことと思います.時刻はインターネットなどの発達とともにますます正確に,しかも生活の重要な軸となってきています.これらの時刻は原子時計によって刻まれます.原子時計には,水素メーザ原子時計,ルビジウム原子時計など様々な種類ありますが,現在はセシウム原子時計が使用され,誤差は最高で1億年で1秒程度とされています.将来の原子時計としてストロンチウム光格子時計やイッテルビウム光格子時計の開発が進んでおり,理論的な誤差は宇宙の年齢(138億年)より長い数百億年間でわずか1秒だそうです.
コンピュータの発達が時計と結びつき,時間の刻みの精度も高まってきました.今世紀初頭より為替や株式の取引処理が,秒から数ミリ(=千分の1秒)まで短縮され,このような超高速化の取引のトレンドは,日本も含めて世界中に拡大しています.このように,客観的な時刻,時間の精度は急速に発達しています.
 このような高精度化は画像にも当てはまり,記録媒体としての写真・画像も高密度のデジタル化を伴いながら急速に発展しています.しかし,皆に感動をもたらす名画と呼ばれる絵画は,画面が多少歪んでいたり,色調が少し実際とは異なっていたり,必ずしもすべて正確に描かれているわけではいないようです.絵画は「心象」を描いたものと言われる所以です.日本ばかりでなく海外でも歴史的な大ヒットになった「君の名は。」の全世界興行収入は「千と千尋の神隠し」を上回ったと言われ,アニメに新しい時代を切り開いたとの評判です.その大きな理由の一つに「ルック」と呼ばれる映画の画的な個性が優れていたことが指摘されています.すなわち,「普通の景色」を,とても綺麗に「(現実の)写真以上の絵」に描いたことも,大勢の人に感動をもたらした大きな理由の一つかもしれません.
 2018年の1年間は,原子時計ではどの人にとっても同じ1年間ですが,一人一人の1年間は全く異なります.2018年が.皆様の人生において「充実した1年間」,「幸福の1年間」,「大きなチャンスが得られた1年間」となるよう願っております.学会の大きな目的の一つは,成果の発表,活発な議論,コミュニケーションの「場」を提供することです.インターネットが発達した現在でも,「人と人が出会って,直接話す」ということは,とても貴重なことです.2018年の連合大会において,そのような出会いの場が提供でき,皆様の研究にも新たな進展あるよう努力してゆきたいと思います.
 ぜひ,連合大会へのご参加をお願いする次第です.