設 備
深海曳航式サイドスキャンソナー WADATSUMI

  • WADATSUMIシステム
  • 深海曳航式サイドスキャンソナーWADATSUMIは、海底面近傍において周波数が左舷側94.737kHz、右舷側105.882kHzの超音波を送受信することにより、高分解能の海底音響画像および地形図を作成するシステムである。  システムの曳航概念図は、図のようになる。調査船の後方から曳航される曳航体は送受波器を備えており、海底面に向かって扇形に広がる音波を発信し、海底面から散乱、反射された音波を受信する。受信された音波の強弱を記録紙上に濃淡表示することによって、海底の微細地形、底質の変化を音響的な写真画像として画像化できる。  
    システムは、浮力を持った曳航体を海底面近傍(海底からの高さ200m前後)で曳航し、音波の送受信を行う。曳航体はわずかに浮力を有するた めに、ディプレッサーと曳航ケーブルによって曳航高度を維持する。曳航高度を維持するために、研究室からの遠隔操作によって後部デッキ上のウインチを制御する。  曳航体はサイドスキャンソナー機能の他に、インターフェロメトリック機能を備えることにより、海底地形データを同時に取得することが出来る。また、サブボトムプロファイラーを備えることによって、海底表層部の断面データを表示し収録を行うことが出来る。曳航体の位置決定は、船底設置の送受波器と曳航体に設置された送受波器を利用したISBL方式や、海底に設置した送受波器を使用して位置を決定するLBL方式で行う。

  • WADATSUMI曳航体
    <システム構成>
    本システムは、以下の3つに大別することが出来る。
    曳航機器
    曳航体とディプレッサーから構成される。曳航体は流線型で、サイドスキャン送受波器、姿勢計測器、緊急切り離し装置及び曳航体の電子機器を装備している。この曳航体は、わずかに浮力を持ち調査時にはディプレッサーを用いて水深を維持する。ディプレッサーの重量は1トンである。
    デッキ機器
    ディーゼル式油圧供給装置、ケーブルを備えたスプーラーウインチ、トランクションウインチ、滑車から構成される。ウインチの操作は、曳航体の投入、回収時は甲板上のコントロール端末を、観測中は第3研究室の遠隔コントロール端末で操作する。曳航ケーブルは1000m出すごとに1トンの張力がかかる。
    観測室機器
    曳航体制御装置はシステム全体の設定を制御し、曳航ケーブルによる高速リンクを通じて送られてくる音響データと環境データを受信する。データ収録装置は、採取した生データ及び、処理後の音響データと環境データを光ディスクに記録する。その他にウインチ遠隔制御装置から構成されている。
  • 主な仕様>

    使用周波数:94.737kHz(左舷)、105.882kHz(右舷)
    ビーム幅:2.0°
    パルス発信間隔:1〜10秒
    曳航深度:1〜6000m
    曳航高度:15〜500m
    曳航可能水深:3〜6000m
    データ収録形式:光ディスク
    ピクセル数:1024(片舷)2048(両舷)
    スワス幅(両舷):50,100,200,500,1000m
    ピクセルサイズ:2.5〜50cm
    認識限界:0.5〜20m
    検出限界:2cm
    サブボトムプロファイラー:4〜6kHz

    WADATSUMIで得られた海底面の散乱強度分布図(下図)。
    上図は同じ場所での海底地形図。

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