山崎 俊嗣 【教授】専門:古地磁気・岩石磁気学、 海洋底地球物理学、海洋地質学

お勧めの本

菅沼悠介
「地磁気逆転と「チバニアン」」(講談社ブルーバックス、2020年)

書評(日本地球惑星科学連合ニュースレターvol.16, no.3, p.19)

 

清家弘治
「海底の支配者底生生物」(中公新書ラクレ、2020年)

海底に巣穴を掘って暮らし、姿を捉えることすら困難な底生生物は、著者によれば「謎しかない」そうですが、読者は「へえ〜そうなんだ、そんなこともわかるんだ」と驚くだろう。著者の、そんな虫たちへの、そして科学への愛情が行間に満ちあふれた好著。

 

酒井敏著
「京大的アホがなぜ必要か カオス的な世界の生存戦略」(集英社新書)

大学で学ぶということ、さらには研究するということは何かを考える上で一読の価値あり。
なお、著者は地球流体力学の研究者。

 

蒲生俊敬著
「太平洋 その深層で起こっていること」(講談社ブルーバックス、2018年)

太平洋の水と海底について、物理・化学・地学の境界なく紹介するという類書にない構成の本で、著者の博識に感心する。特に、天皇海山群の発見から命名に至る経緯のところは圧巻。海洋調査の現場の経験豊富な著者ならではの、臨場感溢れる部分も引き込まれる。一般向け啓蒙書ではあるが専門家にも読み応えがあり、海洋科学を志す学生に是非読んでもらいたい。

 

末広 潔 著
「海洋地震学」(東京大学出版会、2017年)

内容を細部まで理解するためには波動論等の基礎が求められるが、海での観測や研究についての著者の哲学がにじみ出ている本書は、地震学を専門としない人にも一読の価値がある。

 

海洋底科学に関する待望久しい教科書が、2016年に2冊相次いで出版された。タイトルは似ているが、内容や対象とする読者層はかなり異なる。

中西正男・沖野郷子著
「海洋底地球科学」(東京大学出版会)

海洋底の地形・地球物理を中心とした基礎的内容で、これから海洋底科学を学ぶ学部〜大学院修士課程学生向け。

日本地質学会「海洋底科学の基礎」編集委員会編
「海洋底科学の基礎」(共立出版)

深海掘削船に乗船して研究するための手引き書として企画されたもので、試料採取やデータ取得の現場ですべきことが書かれた実践的な本。

 

ピーター・ウォード、ジョセフ・カーシュビンク著(梶山あゆみ訳)
「生物はなぜ誕生したのか」(河出書房新社)

副題の「生命の起源と進化の最新科学」の方が内容を的確に表していて、原著の表題にも近い。地球誕生から現在までの生命史についてのたいへん読み応えのある本。古生物学の最近の進歩に驚かされる。

 

宮原ひろ子著
「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるかー太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来」(化学同人選書61)

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